ジャン=ルイ・トランティニャン
Jean-Louis Trintignant
 1930年12月11日、フランス南部のヴォクリューズ県ブロラン生まれ。実業家の息子。アヴィニョン中学を経て法律学校を卒業したが、20歳の時にパリに出て芝居に魅せられ、法律の道はきっぱりと諦め、シャルル・デュランについて演技を、また踊りの修行にも励んだ。
 51年「真夏の夜の夢」で初舞台を踏み、地方公演でシラーやシェークスピアなどの劇を演じていたが、55年「空と海の間に」で映画デビュー。翌年、ロジェ・ヴァディム監督の「素直な悪女」で認められ、2年間のアルジェリアでの軍隊生活をはさみ、59年、再び同監督の「危険な関係」で映画界に復帰した。
 人気を不動のものにしたのは、大ヒットした66年のクロード・ルルーシュ監督作品「男と女」。以来、フランスのトップ・スターとして活躍している。その繊細さ、知性、優しさに加えて、社会的発言や行動に対する信頼、尊敬が評価され、多大な人気を集めているが、俳優としてのみならず製作者としても参加した政治的な作品「Z」では、68年カンヌ映画祭主演男優賞を受賞している。受賞歴としては、ほかに68年”L'Homme qui ment"でのベルリン映画祭男優賞受賞がある。近年は渋さも加わり、「男と女Ⅱ」(86)では、アヌーク・エーメと20年振りの再会を演じている。73年の”Une Journee bien remplie”で監督としてデビュー。
 私生活では、56年「素直な悪女」で共演したブリジッド・バルドーと数年間同棲した後、現在の夫人であるナディーヌと結婚。彼女は女流映画監督として活躍しており、67年の第一作「恋びと」では彼が主演している。


ジャン=ルイ・トランティニャン 出演作品
素直な悪女('56)
危険な関係('59)
激しい季節('60)
新・七つの大罪('62)
スエーデンの城('62)
男と女('66)
パリは燃えているか('66)
危険な恋人('68)
殺しが静かにやって来る('68)
女性上位時代('68)
女鹿('68)
モード家の一夜('68)
Z('69)
暗殺の森('70)
流れ者('70)
狼は天使の匂い('72)
刑事キャレラ10+1の追撃('72)
フランスの陰謀('72)
暗殺の詩
 知りすぎた男どもは、抹殺せよ('73)
離愁('73)
特攻要塞都市('75)
フリック・ストーリー('75)
銀行('78)
メランコリー・ペイビー('79)
華麗なる女銀行家('80)
ジュ・ヴ・ゼーム('80)
パッション・ダモーレ('80)
日曜日が待ち遠しい('82)
アンダー・ファイア('83)
ヴィバラビィ('84)
遠い日の家族('85)
ランデヴー('85)
男と女Ⅱ('86)
悲しみのヴァイオリン('86)
幻の女('87)
パンカー・パレス・ホテル('89)
メルシー・ラ・ヴィ('91)
天使が隣で眠る夜('94)
トリコロール/赤の愛('94)
ティコ・ムーン('97)






天使が隣で眠る夜
REGARDE LES HOMMES TOMBER ['94・仏]

photo
製作: ディディエ・オードパン
フランク・ル・ウィタ
マルク・ド・ベゼール
監督・脚本: ジャック・オーディアール
原作: テリー・ホワイト
脚本: アラン・ル・アンリ
撮影: ジェラール・ステラン 
美術: ジャック・ルクセル 
音楽: アレクサンドル・デプラ
出演: ジャン・ルイ・トランティニャン
マチュー・カソビッツ
ジャン・ヤンヌ
ピュル・オジェ
しがない中年賭博師のマルクスは、ヒッチハイクの途中でジョニーという青年と出会う。ジョニーの純粋さに安らぎを感じ、次第に心を開いていくマルクス。ある日、賭博で大損をしたマルクスは組繊に多大な借りを作り、借金取り立ての仕事をさせられるようになる。ついには殺しの仕事も引き受けてしまうふたり。一方、人生の目的を見失っていた中年セールスマンのシモンは、若い刑事のミッキーと知り合う。年の差にもかかわらず、不思議な親近感を覚えるシモン。しかしミッキーはある事件の授査中、撃たれて植物人間になってしまう。刑事を撃った2人組と、彼らを追い詰める刑事の友人。それぞれの男たちの2つの物語が複雑に組み合い、意外な結末を迎える。「パルジョーで行こう!」などの脚本家J・オーディアールの監督デビュー作。’95年セザール賞最優秀新人監督作品賞、最優秀新人男優賞(M・カソビッツ)、最優秀編集賞の3部門を受賞した。