文学と彫刻のまち盛岡

石川啄木  青春のふるさと散歩

ふるさとの山に向ひて・・・

ふるさとの山に向ひて
言ふことなし
ふるさとの山はありがたきかな

「杜と水の都」盛岡の駅前広場に建つこの歌は、東京朝日新聞に勤めていた時代に詠んだもので、 その郷愁を誘う詩は、多くの人に親しまれています。また、駅正面に掲げられた「もりおか」の文字は、 啄木自筆の文字を集字して使用したものです。

所在地 :盛岡駅前広場 駅正面から約20m
アクセス:でんでんむし号 盛岡駅前下車

不来方のお城の草に・・・

街の真ん中の緑に覆われた盛岡城跡公園(岩手公園)には、

不来方のお城の草に寝ころびて
空に吸はれし
十五の心

の歌碑(金田一京助書)が建っています。

所在地 :盛岡市内丸 盛岡城跡公園二ノ丸
アクセス:でんでんむし号 岩手公園下車

新しき明日の来るを・・・

盛岡市のメインストリート大通二丁目に建つ「少年啄木像」の台座には、

新しき明日の来るを信ずといふ
自分の言葉に
嘘はなけれど

の歌が刻まれています。この歌は、歌集『哀しき玩具』の中の一首です。 死後3ヵ月を経た明治45年6月に刊行された第二歌集で、 タイトルは「歌は悲しき玩具である」という一部から付けられました。

所在地 :盛岡市大通 丸藤前
アクセス:でんでんむし号 中央通二丁目下車

盛岡の中学校の・・・

中央通一丁目の岩手銀行本店横には

盛岡の中学校の
露台(バルコン)の
欄干(てすり)に最一度(もいちど)我を倚(よ)らしめ

の歌碑が建っています。

所在地 :盛岡市中央通 岩手銀行本店横
アクセス:でんでんむし号 中央通一丁目下車

学校の図書庫の裏の・・・

中央通一丁目の岩手医科大学附属循環器医療センターの前には、

学校の図書庫の裏の秋の草
黄なる花咲きし
今も名知らず

の歌碑が建っています。

所在地 :盛岡市中央通1丁目
     岩手医科大学附属循環器医療センター前
アクセス:でんでんむし号 医大前下車

岩手山秋はふもとの・・・

岩手山
秋はふもとの三方の
野に満つる蟲を何と聴くらむ

街の真ん中を流れる中津川の上流に架る富士見橋は、小天地発行所跡地に近く、この橋の欄干には『小天地』の表紙絵のケシの花模様があしらわれ、左岸の橋の親柱には、啄木の望郷歌が銅板ではめ込まれています。

所在地 :盛岡市加賀野 上の橋上流の富士見橋
アクセス:岩手県交通バス松園山岸線 愛宕町口下車

中津川や月に河鹿の・・・

中津川の左岸には啄木の

中津川や
月に河鹿の啼く夜なり
涼風追ひぬ夢見る人と

と彼の父一禎(いってい)の

中津川
流れ落ち合ふ北上の
早瀬を渡る夕霞かな

の“父子の歌碑”が建てられています。

所在地 :盛岡市馬場町 御厩橋付近
アクセス:岩手県交通バス 下の橋町下車

病のごと思郷のこころ・・・

病のごと
思郷のこころ湧く日なり
目にあおぞらの煙かなしも

中学時代のよき散策場所だった天満宮 近くに建つこの歌碑は、啄木の代表的な歌集『一握の砂』の中の「煙」の巻頭作品です。 初めての歌集の校正刷りの日は、長男の真一の葬儀の日でもありました。 啄木は愛児の死を悼んで、挽歌8首を追加しています。

所在地 :盛岡市天神町 天満宮境内
アクセス:岩手県交通バス浅岸線 天満宮前下車

松の風夜昼ひびきぬ・・・

天満宮境内には、狛犬(こまいぬ)の台座がそのまま啄木の歌碑になっています。向かって右の台座には

夏木立
中の社の石馬も
汗する日なり君をゆめみむ

が、そして左の台座には

松の風夜昼ひびきぬ
人訪はぬ山の祠の
石馬の耳に

の歌が刻まれています。この歌は、彼が発行した 『小天地』に発表した「公孫樹(いちょう)」 と題する10首の中のひとつで、その後の啄木は故郷の渋民で代用教員の道を歩み始めます。 この記念すべき文芸誌『小天地』は、岩野泡鳴、金田一京助、与謝野鉄幹、正宗白鳥などの寄稿を得て好評でしたが、 経済的な行きづまりで、一号で廃刊となりました。

所在地 :盛岡市天神町 天満宮境内
アクセス:岩手県交通バス浅岸線 天満宮前下車

その昔小学校の征屋根に・・・

盛岡市内には、学校の校庭などにも啄木の歌碑が建てられています。

その昔
小学校の征屋根に我が投げし鞠
いかにかなりけむ

この碑は市立下の橋中学校の校庭にあります。

所在地 :盛岡市馬場町 下の橋中学校校庭
アクセス:岩手県交通バス浅岸線 下の橋町下車

教室の窓より遁げて・・・

市立下の橋中学校校門の前には啄木の

教室の窓より遁げて
ただ一人
かの城址に寝に行きしかな

啄木が晩年もっとも心を許しあい、最後をみとった友人若山牧水の

城あとの古石垣にゐもたれて
聞くとしもなき
瀬の遠音かな

これら2首が刻まれた「石川啄木・若山牧水 友情の歌碑」があります。

所在地 :盛岡市馬場町 下の橋中学校前
アクセス:岩手県交通バス浅岸線 下の橋町下車

己が名をほのかに呼びて・・・

前九年の江南義塾盛岡高校裏庭には

己が名をほのかに呼びて
涙せし
十四の春にかへる術なし

の歌碑が建っています。

所在地 :盛岡市前九年 江南義塾盛岡高校裏庭
アクセス:岩手県交通バス青山町線 前九年二丁目下車

茨島の松の並木の街道を・・・

市内から車で約20分先の厨川には

茨島の松の並木の街道を
われと行きし少女
才をたのみき

の歌碑が建っています。

所在地 :盛岡市厨川 赤平グリーンプロット
アクセス:岩手県交通バス厨川中央線 厨川一丁目下車

岩手山秋はふもとの・・・
汽車の窓はるかに・・・

青春と情熱の詩人・石川啄木と妻節子が亡くなって80余年、 その鎮魂のために郷土の山河を望む岩山山頂「啄木望郷の丘」には「啄木望郷の像」が建立されています。 像はふるさとの姫神山に向かい、啄木が最も愛した

岩手山
秋はふもとの三方の
野に満つる蟲を何と聴くらむ

の望郷歌の一首が刻まれています。 そばには全国的にも例をみない詩人夫妻の“夫婦歌碑”が建てられ、啄木の

汽車の窓はるかに北に故郷の
山見えくれば
襟を正すも

と、妻節子の

光淡く
こほろぎ啼きし夕より
秋の入り来とこの胸抱きぬ

の2首が刻まれています。志なかばにして、わずか20代の若さで貧しさのうちに病に冒され、 相次いで世を去った2人は、今は歌となってふるさとの山河を見つめています。

所在地 :盛岡市新庄岩山 啄木望郷の丘
アクセス:岩手県交通バス 岩山展望台下車

それとなく郷里のことなど・・・他

盛岡駅から車で15分ほどの、標高343mの岩山一帯は、素晴らしい眺望が楽しめる絶好のレジャーポイントです。 真正面には岩手山の山容が広がり、天気に恵まれれば姫神山、早池峰山、奥羽山脈を一望できます。 岩山展望台のすぐ下の「啄木詩の道」は、アカマツ、ヤマザクラなどの自然豊かな林に囲まれた100mほどの小道です。 その小道には、

それとなく
郷里のことなど語り出でて
秋の夜に焼く餅のにほひかな

友がみなわれよりえらく見ゆる日よ
花を買ひ来て
妻としたしむ

など、啄木の短歌10首が石に刻まれ、詩情を誘います。

所在地 :盛岡市新庄岩山 岩山展望台下(啄木詩の道)
アクセス:岩手県交通バス 岩山展望台下車

中津川や月に河鹿の・・・

盛岡市役所裏庭付近には、

中津川や
月に河鹿の啼く夜なり
涼風追ひぬ夢見る人と

の歌碑が建てられています。

所在地 :盛岡市内丸 盛岡市役所裏庭
アクセス:でんでんむし号 内丸下車